個人情報の漏洩や不正アクセスのニュースを目にするたびに、パスワードの管理方法が気になります。
いくらサービス側が対策していても、同じパスワードを使い回していたら、自分でも被害を広げかねません。
筆者は以前LastPassを使っていましたが、今はBitwardenに乗り換えて、かなり満足しています。
無料プランの制限やセキュリティインシデントなど、乗り換えた理由はいくつかありますが、何より複数のデバイスで使いやすいのがありがたい。
一方、GoogleやApple、Microsoftにも標準のパスワード管理機能があります。
無料で手軽に使えるのに、わざわざ専用サービスを選ぶ意味はあるのか。
筆者自身の好みも交えつつ、管理方法やサービスごとの違いを整理してみます。
※サービスのプランや対応環境は2026年11月時点の情報です。料金や機能は変更される場合があります。
まず、どうやってパスワードを管理するか
| 管理方法 | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 記憶する | 少数の重要なパスフレーズ | サービスごとに異なる長い文字列を覚えるのは難しい |
| 紙に控える | 緊急時の復旧コードなど | 保管場所、紛失、第三者の閲覧 |
| メモ・表計算ファイル | 少数の情報を手元で管理 | 暗号化、コピー、同期、バックアップを自分で設計する必要がある |
| OS・ブラウザ標準機能 | 手軽に自動入力を始めたい | プラットフォームごとに対応環境が異なる |
| 専用パスワードマネージャー | 複数ブラウザ・端末を横断する | 保管庫の保護と復旧手段が必要 |
紙のメモが必ず危険で、クラウドなら必ず安全、という話ではありませんが、個人的には紙にパスワードを控えるのは絶対にやめたほうがいいと思います。
紛失したら探せないし、書き換えるたびに面倒だし、他人に見られても分からない。
日常的に使うWebサービスの数を考えると、もう紙で管理するのは無理があると思います。
ただし、復旧コードを紙に控えてオフラインの安全な場所に保管するのは別の話です。
普段のログイン情報と緊急時のバックアップは分けて考えたいところ。
OS・ブラウザ標準機能は十分使えそう
ChromeのGoogle パスワード マネージャー、Appleの「パスワード」、Microsoft Edgeのパスワード管理は、導入の手間が少ないのが強みです。
既に使っているアカウントや端末と統合されており、新しいサービスに登録する必要もありません。
調べてみて意外だったのは、ブラウザの外まで使えること。
Google パスワード マネージャーはAndroidのアプリで利用でき、iPhone・iPadでもChromeを自動入力元として設定できます。
Appleの「パスワード」はApple製デバイスを中心に利用でき、WindowsでもiCloud Passwordsを通じた利用方法があります。
とはいえ、Windowsのデスクトップアプリや別のブラウザまで同じように使えるとは限りません。
対応OSの一覧だけでは、普段の使い勝手がなかなか見えてきません。
標準機能が便利なのは分かりますが、筆者の個人的な感覚では、どうにも使う気になれません。
GoogleやApple、Microsoftには普段から十分お世話になっているのに、パスワードまでまとめて預けるのはなんだか気持ち悪い。
ブラウザやOSが保存・同期する仕組みに任せるのも、どうも好みではありません。
それに、ブラウザやOSを変えるたびに管理先の都合を気にするのも嫌です。認証情報くらいは独立した場所に置いておきたい。
専用パスワードマネージャーを比較
専用サービスにもいろいろあります。主な選択肢を並べてみました。
| サービス | 無料利用 | 管理方式・特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Bitwarden | あり | オープンソース、複数環境の同期、ブラウザ拡張・アプリ | 無料でも環境をまたいで使いたい |
| 1Password | 基本的に有料 | Secret Keyを利用した設計、家族・チーム向け機能 | 有料でも体験や共有機能を重視する |
| Proton Pass | あり | 複数端末、パスキー、メールエイリアス | プライバシーやアドレス分離も重視する |
| KeePassXC | 無料 | ローカルの暗号化データベースを自分で管理 | クラウド同期を自分で設計したい |
| LastPass | あり(PCかモバイルの1種別) | 老舗のクラウド型サービス | 現行プランの制約を理解して使いたい |
ここで気をつけたいのが、「デスクトップアプリがある」と「ほかのアプリのログイン欄へ自動入力できる」は別だということ。
個人的には、どのOSで動くか以上に、普段使っているアプリで面倒なく使えるかを重視しています。
無料での複数端末利用ならBitwardenとProton Pass
Bitwardenは無料プランでも複数デバイスから利用でき、ブラウザ拡張機能やモバイルアプリなどを提供しています。
Proton Passも公式の無料プランでログイン情報と利用デバイス数に制限を設けておらず、メールエイリアスを扱える点が特徴的です。
Proton Passも魅力的ですが、筆者はBitwardenで満足しているので、今のところ乗り換える予定はありません。
新しいサービスを探すこと自体が目的になってしまっても仕方ないですしね。
オープンソースと2人での共有もBitwardenの魅力
Bitwardenはソースコードを公開していて、誰でも仕組みを確認できます。
セキュリティに関わるツールだけに、中身がブラックボックスではないのは個人的に好印象です。第三者による監査も実施されています。
もうひとつ面白いのが認証情報の共有機能。無料でも2人で組織を作成し、共有したいログイン情報だけをコレクションにまとめられます。
共有相手にはパスワードを非表示にし、自動入力だけ使わせる設定もできます。ただし、パスワード自体を技術的に取得できなくする仕組みではありません。
筆者はまだ試していませんが、家族で共用するサービスや、小規模なチームでログイン情報を管理するときに使えそうです。
ローカルで持ちたいならKeePassXC
KeePassXCはデータベースファイルを自分で管理する方式です。
クラウドサービスへ保管庫を預けることを避けられる一方、端末間の同期、バックアップ、紛失時の復旧方法を自分で考える必要があります。
手元だけで管理できる自由には、運用の責任も付いてきます。
使いやすさに料金を払うなら1Password
1Passwordは有料を基本とするサービスです。
Secret Keyを組み合わせたアカウント保護や共有機能などがあり、価格だけで比較すると見落とす部分があります。
有料でも構わないなら、積極的に比較したい候補です。
LastPassをやめてBitwardenにした理由
まず大きかったのが、LastPassの無料プランの縮小です。
PCかモバイルのどちらか一方に利用が制限されて、無料プランでの使い勝手が一気に悪くなりました。
PCでもスマホでも使いたいからパスワードマネージャーを導入しているのに、そこを制限されては困ります。
さらに2022年にはセキュリティインシデントが発生し、暗号化された保管庫バックアップを含むデータが攻撃者に取得されたことが公表されました。
暗号化されていたとはいえ、よりによってパスワードを預かるサービスで保管庫のバックアップが流出するとは・・・。
個々のパスワードがその場で読まれたわけではありませんが、これでは安心して預けられません。
それに、使っていた頃のLastPassは、UIも含めてあまり進化している感じがしませんでした。
運営会社の変遷もあり、サービスを長く安心して使い続けられるのか、筆者としては不安がありました。
便利なサービスだっただけに、長く使い続けたいと思える変化が見えなかったのは残念です。
Bitwardenに移行してよかったのは、ブラウザ以外も含めて、異なるデバイスで同じ保管庫を利用しやすくなったこと。
無料で使える範囲も筆者の用途には十分でした。
パスワードマネージャーは、一度使い始めるとなかなか乗り換えられません。
だからこそ、今の機能だけでなく、サービスがちゃんと手入れされていると感じられるかも気になります。
パスキーが増えたら、パスワードマネージャーは不要になる?
パスキーは公開鍵暗号に基づくログイン方式で、パスワードを入力する仕組みと比べてフィッシングに強い設計です。
ただ、対応していないサービスはまだあります。パスワードを全部捨てられる日は、もう少し先でしょう。
むしろ今後は、パスワードとパスキーをどこに保存し、別の端末へどう引き継ぐかが重要になりそうです。
その保存先としてOS標準機能を使うのか、独立した管理サービスを使うのか。
選ぶときには、パスキーの対応可否に加えて、移行・復旧の手段も確認したいところです。
筆者の場合、認証情報を特定のデバイスに紐付けて管理するのがなんとなく気持ち悪くて、パスキーにも積極的ではありませんでした。
それでもパスキーが必要なサービスでは、保存先にBitwardenを指定して使っています。
これなら複数デバイスから同じパスキーを使えて便利です。
管理ツールを選んだ後にやっておきたいこと
どのサービスを選んでも、保管庫のマスターパスワードが弱かったり、端末が乗っ取られていたりすればリスクは残ります。
- サービスごとに異なる長いパスワードを生成する
- マスターパスワードには、長く推測されにくいパスフレーズを使う
- パスワードマネージャー自体の多要素認証を有効にする
- 復旧コードは保管庫の外にも安全に保管する
- エクスポートする場合は平文ファイルの置き場所と削除方法に注意する
- 端末紛失時の対処と、サービスを乗り換える方法を確認しておく
二要素認証のコードを同じ保管庫に入れると、操作は楽になりますが、保管庫へのアクセスが突破された場合に認証要素をまとめて失うリスクもあります。
重要なアカウントでは、別の認証アプリやセキュリティキーに分離することも検討しましょう。
どれを選ぶかより、使い続けられるか
ChromeとAndroidを中心に使い、別の管理サービスを増やしたくない人なら、Googleの標準機能は合理的です。
Apple製品を中心に使う人にも、Apple標準の「パスワード」は有力な選択肢でしょう。
複数OS・ブラウザを使い分け、特定のプラットフォームに依存したくないなら、BitwardenやProton Pass。
家族・チームでの共有や有料サービスとしての使用感を重視するなら1Password。
同期も含めて自分で制御したいならKeePassXCという選び方になります。
筆者はBitwardenで満足しています。
無料でここまで使えて、ブラウザや端末も選ばない。
今のところ、ほかに移る理由がありません。
でも、ずっとBitwardenを使い続けると決めたわけでもありません。
LastPassを離れたときのように、不満が出てきたらまた乗り換えるかもしれません。
パスワードを管理するためのサービスに、自分の使い方まで縛られたくありませんから。

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